妖怪名
襟立衣(えりたてごろも)
主な特徴
一見すると古びた、しかし威厳を感じさせる僧侶の法衣(袈裟)である。
最大の特徴は、首元(襟)の部分が異常に高く、まるで生き物のように直立、あるいは独りでに動く点にある。
衣全体が意思を持っているかのように棚引く姿は、静かでありながら強い存在感を放つ。
出現場所
山, 神社・寺院
関連都道府県
京都府
能力・行動
-
飛行・浮遊能力
意思を持って空を自在に飛ぶ。 -
主の守護/呪い
元の持ち主の怨念や魔力を色濃く残し、特定の対象に加護や呪いをもたらす。 -
気配の察知
付喪神としての感覚を持ち、近づく者や妖気の流れを敏感に捉える。
鞍馬山の僧正坊(大天狗)が着用していた法衣が、長年の歳月と強力な妖気、そして持ち主の強い霊力を吸収したことで付喪神と化したとされる。
通常は静かな古衣だが、一度動き出すと持ち主であった大天狗の威圧感を放ち、まるで天狗そのものが衣をまとっているかのような錯覚を与えることがある。
その強力な霊力ゆえに、並の霊を寄せ付けない。
危険度ランク
B(警戒すべき)
物理的危害
低(軽傷)
通常は無害だが、持ち主に仇なす者や聖域を汚す者に対しては、衣で拘束したり、風を起こして吹き飛ばしたりする程度の力を行使することがある。
精神的影響
中(恐怖・呪い)
意思を持って空を舞う衣の姿は、遭遇した者に強い畏怖と驚愕を与える。また、衣が放つ大天狗由来の威圧感により、精神的な圧迫を感じ、動けなくなる者もいる。
遭遇確率
★☆☆☆☆
伝承・歴史
京都の鞍馬山に伝わる天狗伝説、特に鞍馬天狗(僧正坊)に関連する妖怪である。
鳥山石燕の『画図百鬼夜行』にも描かれている。
伝承では、鞍馬寺の僧正坊が、長年愛用した法衣を襟立衣として残し、それが後世に妖怪として活動したとされる。
天狗の法力が込められた器としての側面が強く、一般的な「器物の化け物」よりも神聖な、あるいは魔的な力が強い存在として扱われる。
遭遇したらどうすればいい?
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不用意に触れない
天狗の力が込められているため、一般人が不用意に触れると強力な霊気や呪いを受ける可能性がある。 -
敬意を払う
鞍馬山や天狗信仰に関わる存在であるため、見かけた場合は敬意を払って立ち去るのが賢明である。 -
鞍馬山の守護を念じる
持ち主が鞍馬天狗であるため、鞍馬山の神仏への祈りが有効とされる場合がある。
基本的に人間を積極的に襲うような妖怪ではない。
その存在自体が天狗の威光の現れであり、恐れるよりも敬うことで無難に過ごせるとされる。
天狗の聖域を冒さないことが最も重要である。