分類: 霊的妖怪
妖怪名
鈴彦姫(すずひこひめ)
主な特徴
神楽鈴を頭部に載せ、顔そのものが鈴のように見える女性の姿で描かれる。
人の姿を保ちながらも、神事に用いられる祭具と一体化した異形性が強い妖怪。
出現場所
神社・寺院, 森・竹林
関連都道府県
全国
能力・行動
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神楽を想起させる霊性
神楽鈴と結びついた存在であり、神を招き、あるいは呼び覚ます象徴的存在と考えられる。 -
神事と妖怪の境界性
神聖な道具を身に宿しながら妖怪として描かれる点に、信仰と怪異の曖昧な境界が表れている。
危険度ランク
C(ほぼ無害)
物理的危害
なし
人に直接危害を加える描写や伝承は存在しない。
精神的影響
低(気味が悪い)
神事を想起させる異様な姿が、遭遇者に不安や畏怖の感情を抱かせる程度と考えられる。
遭遇確率
★★☆☆☆
伝承・歴史
江戸時代の絵師 鳥山石燕 による妖怪画集 百器徒然袋 に登場する妖怪。
石燕の解説文では、天岩戸神話において神楽を舞った女神・天鈿女命への言及があり、神楽鈴と「隠れた神を招き出す」という観念が重ね合わされている。
ただし、天鈿女が実際に鈴を用いたという神話的根拠はない。
また、室町時代の『百鬼夜行絵巻』に描かれた神楽鈴を持つ妖怪像や、「神を呼び出す道具としての鈴」の連想から創作された可能性が指摘されている。
遭遇したらどうすればいい?
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静かに立ち去る
神事に関わる存在と考えられるため、無礼な行為を避けることが基本とされる。 -
神社では敬意を払う
神楽や鈴に関わる場では、怪異というより霊的象徴として扱うのが伝承的に自然である。