
妖怪名
朧車(おぼろぐるま)
主な特徴
牛車(ぎっしゃ)の形をした妖怪で、夜になると霧の中に現れ、恨みや未練を抱えた怨霊のような顔が車の中から覗く。
しばしば「夜中に音だけが響き、近づいてはいけないもの」として恐れられた。
出現場所
神社・寺院, 村・町
関連都道府県
全国, 京都府
能力・行動
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車輪の音とともに出現
夜、人気のない道を「ギーギー」という軋む音とともにゆっくりと進む。 -
顔が浮かぶ車輪
車の側面、または車輪の中に人間のような苦悶の表情を浮かべた顔が浮かび上がるとされる。 -
怨念の付喪神
かつて使われていた牛車が長い年月を経て、使われなくなった怒りや悲しみ、恨みがこもり妖怪化したものとされる。 -
都市伝説化する存在
現代でも「廃車の霊」「夜の路地に現れる顔付きの車」として語られることがある。
危険度ランク
B(警戒すべき)
物理的危害
低(軽傷)
転倒・錯乱・一時的な意識喪失など。直接的な攻撃は少ないが、精神的に追い込む力が強い。
精神的影響
中(恐怖・呪い)
朧車を目撃した者は不気味な夢に悩まされる、耳元で名前を呼ばれる、誰もいないのに足音がするなどの症状が報告される。
遭遇確率
★★☆☆☆
朧月夜(満月の前後、霞がかった夜)に現れやすいと伝えられており、季節では春〜初夏の夜が多い。
伝承・歴史
平安京では、夜に現れて邸宅の前に現れ、恨みをぶつける車として恐れられた。
「朧月夜に現れる車」という意味で「朧車」と呼ばれたとも。
『百鬼夜行絵巻』などにも姿が記録されており、牛車に顔が浮かび上がった異様な姿が描かれている。
平安時代の貴族社会では、「乗る者の魂が宿る」とまで信じられていた乗り物が変化したものとされる。
現代文化での登場
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アニメ・ゲーム『妖怪ウォッチ』『ぬらりひょんの孫』などに登場。
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近年では「廃車の怨霊」のような都市伝説型妖怪としても再解釈される傾向がある。
遭遇したらどうすればいい?
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音が聞こえたら立ち止まらない
車の音が聞こえたら決して立ち止まらず、後ろを振り返らずに進むこと。 -
目を合わせると呪われる
顔と目を合わせた者は、深夜に悪夢を見たり、声が聞こえるようになるとされる。 -
牛車の名残に近づかない
古道や寺社の裏道にある放置された牛車(または車輪)には近づかないこと。