妖怪名
蛇王姫(じゃおうひめ)
主な特徴
蛇王姫は、無数の蛇を従える巨大な白蛇または美女の姿で語られる妖怪。
神格すら帯びる存在であり、その姿は見る者によって異なる。
蛇の鱗を思わせる煌びやかな着物に身を包み、目は妖しく光り、気配は妖艶ながらも威厳に満ちる。
人の心を見抜く力を持ち、特に「愛」に関わる伝承が多い。
出現場所
山, 神社・寺院, 村・町, 森・竹林
関連都道府県
岐阜県, 三重県, 大阪府
能力・行動
-
蛇を従える王の力(蛇統制)
無数の蛇を使役し、意のままに動かす能力。蛇は毒を持ち、時に人を守り、時に罰する。 -
変化の術(へんげ)
巨大な白蛇から、美しい女性、または人蛇一体の神秘的な姿に変化する力。 -
恋慕による神化(れんぼしんか)
深い恋の念が霊的存在を突き動かし、神または妖怪へと昇華させた存在とされる。 -
霊的加護と災い
信仰すれば守護の存在に、敵対すれば破滅の元となる二面性を持つ。
危険度ランク
B(警戒すべき)
物理的危害
中(危険)
蛇の集団による襲撃や、毒をもった蛇による咬傷。敵と見なされた場合には、無数の蛇に襲われるという。
精神的影響
中(恐怖・呪い)
深い執念と未練を感じさせる妖気に当てられ、うなされることもある。夢に現れることもあり、蛇に取り巻かれる幻視を見る者も。
遭遇確率
★★☆☆☆
神社や寺、山中の蛇塚、霊場、湖畔などで稀に目撃されるとされる。霊感の強い者や信仰心の強い者の前に現れる可能性が高い。
伝承・歴史
大阪府泉南市の長慶寺に伝わる蛇王姫伝説が有名で、無数の蛇を従えた「姫」として恐れられていた。
また、全国に点在する「蛇王権現」信仰に通じ、特に岐阜県大垣市の明星輪寺では、虚空蔵菩薩に恋焦がれて大蛇に変じた伊勢国(三重県)の娘を「蛇王権現」として祀っている。
この大蛇は執念と信仰の象徴として、霊的守護者に昇華されたとされる。
現代文化での登場
-
一部の創作では「蛇神」や「妖蛇の姫君」として、和風ファンタジー作品に登場する。
-
怨霊・神霊・愛憎の象徴として、恋愛系怪談やゲームでのモチーフとして用いられることがある。
-
ビジュアルは美女・白蛇の二形態で描かれることが多い。
遭遇したらどうすればいい?
-
蛇に礼を尽くす
蛇王姫の従者である蛇に敬意を払うことで、姫の怒りを避けることができる。 -
欲を抑える心を持つ
欲深き者に災いを与えるという伝承があり、慎ましい行いが身を守る。 -
水辺で姿を見たら手を合わせる
水神の一種ともされ、軽んじると呪われるという。 -
蛇王姫の名前を口にしない
呼びかけることで注意を引くとされ、特に夜間の山や川辺では禁忌とされる。