
妖怪名
針女(はりおんな)
主な特徴
針女は、長年使われた裁縫道具——特に針箱や針そのものが怨念や念によって妖怪化した存在。
人の形をしているが、髪の毛が無数の鋭利な縫い針になっており、血のにじむ白い着物をまとう女性の姿で現れることが多い。
出現場所
墓地, 村・町, 家屋
関連都道府県
全国, 福井県, 京都府, 奈良県
能力・行動
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縫針の髪
髪の毛のすべてが鋭利な針で構成されており、自在に動かして対象を刺す。 -
恨みを縫う
怨念を糸とし、心に恨みを持つ者に取り憑き、精神を“縫い留める”ことで狂わせる。 -
見えざる糸
目には見えない妖糸を操り、人を操ったり縛ったりすることができる。 -
夜間出現
特に月の見えない夜、古い家や使われなくなった裁縫道具の近くに出現する。
危険度ランク
B(警戒すべき)
物理的危害
中(危険)
髪の針で肉体を刺し貫く。特に喉や目を狙うと言われている。寝ている間に顔に針を刺されるという民話も存在。
精神的影響
中(恐怖・呪い)
心に恨みや後悔を抱える人間にのみ見えることがあり、針でその感情を「縫いとめ」て動けなくする。一種の呪縛状態に陥る。
遭遇確率
★★☆☆☆
古民家や使われなくなった裁縫道具の保管庫などに限られる。
伝承・歴史
近畿地方を中心に、「長く使った裁縫道具を粗末に扱うと祟りがある」という言い伝えがあり、特に正月や節分の前後に使い古した針を供養する「針供養」の風習が存在。
この行事は針女のような付喪神が化けて出ないようにという鎮魂と感謝の意味が込められている。
現代文化での登場
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一部ホラーゲームや妖怪漫画において、針を使う妖怪や、髪が針状になった幽霊などが針女のイメージに影響を受けて登場している。
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「ぬ~べ~」や「妖怪ウォッチ」系では名称は異なるが類似モチーフが使用されている。
遭遇したらどうすればいい?
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針供養を行う
感謝の気持ちを込めて針を供養すると、付喪神は安らぎ、祟らないとされている。 -
布や糸を供える
妖怪に関連した素材を供えることで怒りを鎮めるという説もある。 -
後悔や怨念を手放す
精神的な「ほころび」を見せると付け入られるため、心を穏やかに保つことが最大の予防策。