文車妖妃(ふぐるまようひ)

文車妖妃(ふぐるまようひ)擬人化イラスト

妖怪名

文車妖妃(ふぐるまようひ)

主な特徴

古びた文車(ふぐるま:書類や文書を収納する移動式の箱)が長い時を経て妖怪化した姿。

文書に宿った怨念や情念が凝縮され、美しくも恐ろしい女の姿として現れる。

かつて人の愛や呪い、悲しみを記した書状に深く関わったとされる。

出現場所

神社・寺院, 墓地, 村・町, 家屋

関連都道府県

滋賀県, 京都府, 大阪府, 奈良県

能力・行動

  • 文魂憑依(ふみだまひょうい)
    文車に触れた者の記憶や過去の罪を読み取り、幻視させる力。

  • 怨文召喚(おんぶんしょうかん)
    過去に書かれた怨念のこもった手紙を具現化し、呪いや実体化した「文の亡霊」を使役。

  • 姿を文に戻す
    追い詰められると、紙束のような姿に変化し、物陰に紛れる。

  • 言霊の刃
    口から放たれる言葉が物理的な刃となって対象を傷つける。

危険度ランク

A(非常に危険)

物理的危害

中(危険)

紙の刃や文の怨霊による攻撃で切り傷や衰弱を招く。直接的な殺傷能力は限定的だが、精神的な攻撃と合わせて危険度が高まる。

精神的影響

高(精神崩壊・死)

自らが過去に書いた、または受け取った手紙の記憶を見せられ、心に傷を持つ者は自我崩壊を起こす場合がある。怨霊の言葉に取り憑かれることも。

遭遇確率

★★☆☆☆

伝承・歴史

文車妖妃は『付喪神記』や江戸時代の随筆に登場。

長年大切にされた文書や書棚が変化し、感情を吸い込んだ末に女性の姿を得たとされる。

京都の古書店や蔵に現れたという記録が一部に残る。

現代文化での登場

  • アニメ『百鬼夜行抄』に登場(第2期、第5話)

  • 漫画『妖怪事典 改』ではメインエピソードの中心妖怪として描写

  • 小説『文車異譚録』では愛と呪いの象徴として登場

遭遇したらどうすればいい?

  1. 過去の手紙や文書を処分しない
    感情のこもった文書を粗末に扱うと憑かれることがある。

  2. 静かにその場を離れる
    騒いだり読もうとしたりすると、攻撃性が高まる。

  3. 硯(すずり)や墨を供える
    書の道具は文車妖妃にとって供物になり、怒りを鎮めるとされる。

  4. 清書された短歌を奉納する
    情念を浄化する手段として伝わる。一説には美しい筆文字には妖怪を祓う力があるとされる。