七尋女房(ななひろにょうぼう)

七尋女房(ななひろにょうぼう)擬人化イラスト

妖怪名

七尋女房(ななひろにょうぼう)

主な特徴

七尋女房とは、「七尋(約12〜13メートル)もの身長を持つ巨大な女房(妻)」のことで、見た目は人間の女性に酷似しているが、恐ろしく大きい体を持ち、その正体を隠して人間の男と結婚するという妖怪。

出現場所

村・町, 家屋, 森・竹林

関連都道府県

山形県, 福島県, 新潟県, 長野県

能力・行動

  • 変化(へんげ)能力
    人間の女性の姿に変身し、村に現れる。正体を見破られない限り人間と同じように生活する。

  • 超巨体(七尋の体)
    本来の姿は12メートル超の巨女。手足も異様に長く、屋根より高くなることも。

  • 怪力
    一度本性を現すと、人や牛を片手で持ち上げるほどの怪力を見せる。

  • 献身的な性格(表向き)
    家事や畑仕事に非常に長けており、村人たちからは理想の女房として評判になることもある。

  • 正体露見で消滅または逃亡
    本性を誰かに見られる、もしくは本人に問い詰められるとその場から姿を消す。

危険度ランク

B(警戒すべき)

物理的危害

中(危険)

怒らせた場合や正体を暴かれた場合、人間を叩き潰す・投げ飛ばす・家を破壊することも。

精神的影響

中(恐怖・呪い)

愛した者が巨大な妖怪だったという精神的ショック。呪いや祟りではないが、心に深いトラウマを残す。

遭遇確率

★★☆☆☆

東北や信越地方の山村伝承でまれに語られる。見た目が普通の女性であることから、遭遇していても気づかない可能性も。

伝承・歴史

「七尋女房」は主に東北地方(特に山形県)に伝わる昔話で、若者が不思議な美女と結婚し、やがて彼女の巨体を見てしまうというパターンが多い。

「風呂桶からはみ出す」「畑で鋤をまるで小枝のように扱う」など、人間離れした場面が特徴。

多くの場合、正体が露見すると涙ながらに去っていく哀話として語られる。

現代文化での登場

  • アニメ・漫画などにはあまり登場しないが、妖怪資料集や怪談集にはしばしば記載あり

  • 民俗学の観点では、「異類婚姻譚」の一種として研究対象になることもある

遭遇したらどうすればいい?

  1. 風呂や影を覗かない
    正体を見ようとすると、消えてしまう。疑っても確かめないことが最良。

  2. 山菜採り・農作業中の女に注意
    人里に紛れ込んでいることが多く、不自然なほど力持ちな場合は要警戒。

  3. 名前を呼ばず、静かに送り出す
    怪異に気づいた場合でも、それを問いたださず静かに送り出すのが古来の礼儀とされる。