
妖怪名
山姥(やまんば・やまうば)
主な特徴
山姥は山深くに棲む恐ろしくも神秘的な老婆の妖怪。古くは「山母(やまも)」とも呼ばれ、山の精霊的存在とされてきました。
その姿は乱れた白髪に血色のない顔、破れた着物姿の老婆として描かれる一方、時に若い女性や美しい母親に化けて人間を騙すなど、変幻自在な存在として知られます。
人を喰らう恐ろしい妖怪であると同時に、迷子の子を助ける育ての神として語られることもあります。
出現場所
山, 村・町, 森・竹林
関連都道府県
福島県, 神奈川県, 新潟県, 長野県, 宮崎県
能力・行動
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人食い
山へ迷い込んだ旅人や子どもを言葉巧みに自宅へ招き、夜になると本性を現して喰らう。 -
擬態変化
若い女性、優しい老婆、美しい母など、あらゆる姿に化ける。善人を安心させ、油断させるための手段。 -
自然支配
雨、霧、吹雪を起こし、山の天候を自在に操るという。これにより道に迷わせ、獲物を逃がさない。 -
超人的な力
木をなぎ倒し、岩を割るほどの怪力を持つ。巨大化することも可能という伝承もある。
危険度ランク
A(非常に危険)
物理的危害
中(危険)
油断した者を生きたまま喰らう。斧や牙で襲いかかる描写もある。特に夜間に人が消える山では、山姥の仕業とされる。
精神的影響
中(恐怖・呪い)
声に惑わされ、深山へと引き寄せられる。帰還しても、記憶が曖昧になる・言葉が話せなくなるなどの呪いにかかることがある。
遭遇確率
★★☆☆☆
深い山中や、古くから「山姥の棲む地」として知られる地域に限られる。
伝承・歴史
日本各地に山姥伝説が存在し、とくに有名なのが「坂田金時(金太郎)を育てた山姥」という話。
これは山姥を“鬼女”ではなく“育ての母”として描いた珍しいパターン。
一方で、『御伽草子』や『今昔物語集』などでは、旅人を騙して喰らう恐ろしい存在として描写される。
現代文化での登場
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「妖怪ウォッチ」「地獄少女」などに登場。ホラー系創作物では人を食べる恐怖の存在として描かれやすい。
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ゲーム『大神』や『ぬ~べ~』などにも派生的キャラが登場しており、美醜の二面性を持つキャラクター造形に活かされている。
遭遇したらどうすればいい?
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言葉をかけられても応じない
声に応じると幻術にかかるとされる。無視して立ち去るのが吉。 -
山姥の好物を供える(団子や芋)
地域によっては供物で祟りを避ける風習がある。誠意を示すことで命を助けられた話も。 -
山に入る際は塩と護符を持参
古来より、山姥の力を弱めるとされる。山中の修験者も同様の道具を携帯していた。 -
振り返らないこと
背後に声をかけられても振り向くな、という言い伝えは山姥由来とも言われる。