妖怪名
縊鬼(いき / いつき / くびれおに)
主な特徴
人に取り憑き、首を括らせようとする恐ろしい霊的存在。
普段は姿を見せず、憑かれた者の意識を曇らせ、夢遊病のように自殺へと導く。
一部の伝承では、水死者の霊が変じたものとも、悪念を抱いて死んだ者の成れの果てともされる。
出現場所
墓地, 村・町, 家屋
関連都道府県
全国, 東京都
能力・行動
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精神支配(囁きの呪縛)
憑依された者は「首をくくれ」という内なる声に逆らえず、意思を奪われる。 -
乗り換え(転移性の霊)
自殺を逃れた場合、縊鬼は別の弱った人間に移り、再び同じように取り憑く。 -
意識の曇り(夢現の状態)
憑かれている間の記憶は曖昧で、夢を見ていたかのような感覚に包まれる。 -
感情共鳴(鬱や絶望に反応)
強い悲しみ・絶望・自己否定の感情に共鳴しやすく、そうした人物に引き寄せられる。
危険度ランク
A(非常に危険)
物理的危害
高(致命的)
憑依された人間が自ら命を絶つよう誘導されるため、極めて危険。直接の攻撃はないが、自死という最終的な結果をもたらす。
精神的影響
高(精神崩壊・死)
心に自殺衝動を植え付ける強力な呪的影響があり、救済が遅れれば取り返しのつかない事態となる。恐怖や絶望を極限まで増幅させる。
遭遇確率
★★★☆☆
都市部の神社裏、旧家、橋の下、あるいは心霊スポットや自殺の名所などでの目撃談がある。特に深夜、独りでの行動時に精神が弱っているときに狙われやすい。
伝承・歴史
縊鬼は江戸時代の随筆『反古のうらがき』(鈴木桃野)に記録され、麹町での実話として描かれている。
これにより、霊的存在が人間に自殺を促すという概念はすでに当時存在していたことが分かる。
また、江戸時代の怪談集『絵本百物語』における「死神」は、悪念を持った死者の霊が人を自殺に誘導するという点で、縊鬼と極めて近いとされる。
現代では、心霊学的に水死者の霊や自殺者の霊が変化したものと解釈されることも多い。
現代文化での登場
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幽霊や死神のような存在として、Jホラーや心霊ドキュメンタリーで類似の存在が登場。
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一部の都市伝説やネット怪談「自殺霊」なども、縊鬼と類似の特徴を持つ。
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ゲームや小説では「囁く声」や「誘導霊」として描かれることもある。
遭遇したらどうすればいい?
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心を病んだときは一人にならない
縊鬼は孤独と絶望に付け込むため、他者とのつながりが最大の防御となる。 -
声を聞いたら無視する・口に出す
「首をくくれ」という内なる声に従わず、他人に話すことで霊の力が弱まるという。 -
神社や仏壇に祈る/お守りを持つ
宗教的な力で防ぐことが可能とされ、特に鈴の音が霊を遠ざけるとされる。 -
「名前を知ると力を失う」説を活用
縊鬼の名前を知り、「これは縊鬼だ」と認識することで、その影響力が弱まるという民間信仰もある。