
妖怪名
黄泉醜女(よもつしこめ)
主な特徴
黄泉醜女は、『古事記』に登場する日本最古の怨霊の一種であり、黄泉の国から現れた恐ろしい女の姿の霊的存在。
かつて人間だったが、死後、黄泉の穢れによって腐敗した姿に変貌したとされる。
その姿は、髪は乱れ、皮膚は腐り、眼は爛れ、口は裂け、悪臭を放つなど、醜悪の象徴とされている。
出現場所
墓地, 家屋
関連都道府県
全国, 島根県
能力・行動
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死霊を率いる力
黄泉の軍勢(死霊)を率いて、命ある者を追跡・襲撃する。 -
腐敗による呪詛
近づいた者に死の気を吹きかけ、病をもたらすとされる。 -
俊敏な追跡能力
想像を超える速さで黄泉の国から現世へと追いすがる。 -
死穢の伝播
触れたものに死の穢れを感染させ、他者をも黄泉に引きずり込む。
危険度ランク
A(非常に危険)
物理的危害
高(致命的)
黄泉醜女に捕まった者は腐臭に巻かれながら生気を奪われる。その身体は急激に衰弱し、数日以内に死に至るという。
精神的影響
高(精神崩壊・死)
その姿を見た者は絶望や狂気に陥る。美しい者ほどその反転的な醜悪に強い精神的ショックを受けるとされる。
遭遇確率
★☆☆☆☆
伝承・歴史
『古事記』によれば、イザナミ命が死後に堕ちた「黄泉の国」で腐敗した姿となった後、イザナギ命が逃げ帰る際に差し向けた女鬼たちの一人が「黄泉醜女」とされる。
イザナギを追って現世へ這い出してきたが、桃の実によって追い払われたとされる。
この物語は黄泉穢れと死のタブー、女神の転落を象徴しており、日本神話における死の象徴的存在として語り継がれている。
関連記事:「死」と「生」のはじまりを語る神話 ― イザナギとイザナミ、黄泉醜女の物語
現代文化での登場
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アニメ『日本神話シリーズ』やゲーム『女神転生』『大神』などに登場。
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多くの作品で「黄泉の使者」や「地獄からの追跡者」として描かれる。
遭遇したらどうすればいい?
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桃を投げる
『古事記』の伝承に基づき、桃は死霊・悪霊を祓う力を持つとされ、黄泉醜女もこれによって撃退された。 -
決して振り返らない
黄泉の国から逃れるとき、決して振り返ってはならないという禁忌があり、振り返ると呪われるとされる。 -
清浄な水で身を清める
死穢を断つには、禊(みそぎ)が有効。黄泉の穢れを祓うために、川や滝で清めることが推奨される。