妖怪名
柳女(やなぎおんな)
主な特徴
亡霊のように青白い顔をした美しい女をしている。
細身の体に白い和装、長い黒髪を柳の枝のように風にたなびかせ、胸に子供を抱いている姿で現れることが多い。
出現場所
川, 墓地, 村・町, 家屋, 森・竹林
関連都道府県
全国
能力・行動
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夜に出現する
風の強い夜、特に柳の木の近くに姿を現し、すすり泣く声をあげる。 - 
霊を宿す柳と融合
死した女の怨念が柳に宿ることで生まれた妖怪であり、木と霊のハイブリッド的存在。 - 
幻覚・幻聴を引き起こす
接近した者に「子供の泣き声」や「女のすすり泣き」を聞かせ、恐怖と混乱を与える。 - 
他者を柳で絡め取る
枝のように動く黒髪または実際の柳の枝を操り、首や腕を締め上げることがある。 - 
執念による再来
霊が成仏せず、恨みの念により繰り返し同じ場所に現れる。 
危険度ランク
B(警戒すべき)
物理的危害
中(危険)
柳の枝が首に巻き付いて窒息死したという伝承に基づき、同様の事故や窒息を引き起こす危険性がある。
精神的影響
中(恐怖・呪い)
悲しげな泣き声と、子を抱いた姿により強い情念と罪悪感を植え付ける。夢に現れ続けることもある。
遭遇確率
★★☆☆☆
柳の古木が残る地域や、風の強い夜に限定されるため、比較的遭遇しにくい。
伝承・歴史
『絵本百物語』に登場し、実際の事故(柳の枝が巻き付き死亡)を基に女の霊が柳に宿ったとされる。
宋の伝説や、浄瑠璃『祇園女御九重錦』『三十三間堂棟木由来』にも類似の「柳に化ける女」の話が見られ、古くから「柳=女性」の象徴とされた。柳の枝が幽霊の手に見えるという俗信も関係している。
現代文化での登場
一部の妖怪図鑑、ホラー小説、ゲームにおいて「柳の精」や「女性の怨霊」として類型が登場。
直接名が出ることは少ないが、ビジュアル的には『産女』『雪女』の派生系として登場することもある。
遭遇したらどうすればいい?
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柳の木の近くを夜に避ける
柳女の出現条件は「風の強い夜」。外出を避けることで遭遇率を下げられる。 - 
柳の木に塩やお酒を供える
鎮魂の意味があり、霊が成仏するとされる。 - 
「口惜しや、恨めしの柳や」と呼ばれても無視する
応答すると霊との縁ができてしまうとされる。 - 
お経や数珠を持ち歩く
仏教的加護があり、霊的存在を退ける効果があるとされる。