妖怪名
金槌坊(かなづちぼう)
主な特徴
鳥のような嘴を持つ異形の顔に、法衣のような衣をまとい、大きな金槌を振り上げる姿。
人語を発することはなく、無言で動き回る。
視線は常に警戒しており、誰かに命令されたかのように行動することも。
出現場所
村・町, 家屋, 森・竹林
関連都道府県
熊本県
能力・行動
-
金槌召喚
大地を打ちつけるように金槌を振るい、地面に振動を走らせる。直接の打撃というより威嚇や警告の意味合いが強い。 -
臆病な守護
臆病な者に取り憑き、「用心深さ」を極端に高める。結果として危険回避能力が上がるが、行動不能に陥ることもある。 -
気配遮断
物陰に潜むことで完全に気配を消す。探知系の妖怪や霊でも発見できないことがある。 -
人間心理の反映
周囲の臆病な心理を吸収し、それに応じて姿や行動が変化する。取り憑いた者の「恐怖の象徴」として化けることも。
危険度ランク
B(警戒すべき)
物理的危害
中(危険)
金槌の振り下ろしによる打撃で大怪我を負う可能性あり。ただし、攻撃性は低く、基本的には威嚇行動。
精神的影響
中(恐怖・呪い)
不安や恐怖を煽るような存在であり、取り憑かれると極端な用心深さに変化。正常な判断を下せなくなることもある。
遭遇確率
★★☆☆☆
伝承・歴史
『百鬼夜行絵巻』(松井文庫、江戸時代)に描かれているが、解説が存在しないため詳細不明。
同様の姿は『化物絵巻』『化物尽絵巻』にも描かれており、「大地打」という名で登場。
デザインの起源は室町時代の妖怪絵巻に見られる。
妖怪研究家・多田克己によれば、「金槌の川流れ」や「石橋を叩いて渡る」などの慣用句が示すように、臆病者の擬人化あるいは用心棒的な妖怪と解釈されている。
現代文化での登場
現代のアニメや漫画ではほとんど登場しないが、妖怪図鑑や妖怪展などでその独特な姿が取り上げられることがある。
名前よりもビジュアルのインパクトで記憶されやすい。
遭遇したらどうすればいい?
-
不用意に近づかない
金槌は警告の合図でもあり、近づくことで危険を引き起こす可能性がある。 -
静かにその場を離れる
音に敏感であり、大声や騒音に反応する。静かに立ち去るのが最善。 -
鏡や金属を身につける
金属の反射を嫌うという説があり、鏡や鈴などを持っていると遭遇率が下がるとされる。 -
臆病な心を認め、整える
金槌坊は「過度な用心」に惹かれるため、自身の不安を自覚し、落ち着くことで憑依を防ぐことができるという言い伝えがある。