妖怪名
磯天狗(いそてんぐ)
主な特徴
磯辺に現れる怪異的存在で、姿をはっきり見た者は少ないとされる。
名に「天狗」とあるが、翼や鼻など天狗の特徴は持たず、海辺に怪火を灯す神秘的な存在。
しばしば河童に分類されるが、陸の川辺ではなく潮の満ち引く磯に現れる。
出現場所
海, 村・町
関連都道府県
愛知県, 三重県, 和歌山県
能力・行動
-
怪火を灯す
夜の磯辺に謎の火を灯し、人々を驚かせたり導いたりする。幽霊火や人魂に似るが、天候や月に影響されず出現するのが特徴。 -
海辺に現れて消える
漁師や村人が磯天狗を目撃するのは決まって潮の引いた深夜。姿を確認しようと近づくと、忽然と消えることが多い。 -
人を惑わす
磯天狗の火を追いかけた者が、磯で足を滑らせたり、行方不明になる例もある。
危険度ランク
B(警戒すべき)
物理的危害
中(危険)
磯天狗に導かれた者が海に落ちる、または岩場で怪我をする事例が報告されている。直接襲うわけではないが、間接的に命の危険を招く。
精神的影響
中(恐怖・呪い)
火を見た者が一時的に正気を失う、または言葉を失うなどの怪異が語られる。人によってはその後、夢に現れることもあるという。
遭遇確率
★★☆☆☆
伝承・歴史
磯天狗は愛知県佐久島、和歌山県新宮市、三重県北牟婁郡・尾鷲市須賀利町などの沿岸部で伝承されている。
民俗学者・日野巌によると、その正体は天狗ではなく河童の一種とされ、火を灯す能力を持つことで他の水棲妖怪とは一線を画している。
夜の磯に現れる火は「死人火」とも「妖火」とも呼ばれ、地域によっては死者の霊と結びつけて語られることもある。
現代文化での登場
-
一部の民俗資料集や妖怪辞典に記載されるが、アニメ・漫画・ゲームへの登場例はほぼ見られない。
-
現代の怪談やオカルト系の雑誌では、「海辺の怪火」として類似の存在が取り上げられることがある。
遭遇したらどうすればいい?
-
不用意に近づかない
磯天狗の怪火に近づくことで事故につながる恐れがあるため、見つけても追いかけないこと。 -
火を見たらその場を離れる
怪火を見たら、すぐに背を向けてその場を離れること。伝承によれば、正面から見ることで精神的な影響を受けやすくなるとされている。 -
潮の満ち引きを確認する
出現は干潮時が多く、逆に満ち潮になると足場が危険になるため、磯を訪れる際には時間帯を選ぶこと。